記事の要約:E資格の対策・合格ライン・参考書まとめ【合格体験記】
この記事で学べること
- ディープラーニングE(エンジニア)資格とは
- E資格の内容・受験手順・結果発表の時期
- 合格基準の目安
- 勉強量・期間の目安
- E資格の試験対策・おすすめ書籍
この記事のまとめ
- E資格とは機械学習・ディープラーニング全般の知識に関する資格
- E資格受験の前には必ず認定プログラムを受ける必要がある
- 受験者の平均得点は60~65%・合格率は65%程度 ⇒ 60%がおおよその合格基準
- 以下3書籍をきちんと3か月勉強すればまず受かる程度の難易度
ディープラーニングE(エンジニア)資格とは
E資格とは,一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)の「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」資格です.(公式サイトより抜粋)
試験の内容
いわゆるAIを用いた技術において主に利用されている手法である「ディープラーニング」関連の事項に関する知識を問う資格ですが,実際にはディープラーニングだけではなく,より一般的な機械学習の手法や,基本的な数学的な知識を問うものとなっています.問題の分量的にはやはりディープラーニングがメインになります.問題は一応以下の大きな3項目に分かれています.
- 応用数学(全体の10%程度.正直数学ニガテでも大丈夫です.)
- 機械学習(全体の30%程度.統計学を専門としている方にとってはちょろい感じ.)
- 深層学習(全体の60%程度.結構幅広く最新のトレンドまで問われます.)
試験自体は103問程度の4択問題を120分で解くことになります.全国の試験センターで,パソコン上で回答・入力します.数学の問題は手元のホワイトボードで計算して,選択肢を選びます.一応,パソコン上の一般電卓を使うこともできます.実際に出題される順番はおそらく大問ごとにランダムになっていますので,急に難しい問題が出てくることもあります.
- 各地の試験センターのパソコンで回答
- 4択問題が103問程度で120分の試験時間
- 出題される順番はランダム
- 数学の計算などは手元のホワイトボードとPCの一般電卓を利用可能
- PCに「後で見直す」ボタンが備わっているため見直しも簡単
E=エンジニア資格というだけあって,Pythonによるディープラーニングに関する実装問題も問われます.要するにディープラーニングを本当に「使えるのか?」に主軸を置いています.
E検定とG検定の違い
ちなみにJDLAが出しているディープラーニングの資格にはE検定の他にG(ジェネラリスト)検定があります.G検定ではE検定のように実装問題などは問われず,表面的な概要が幅広く問われる試験になっています.お気持ち的には E資格=専門家向け,G資格=一般の方向け といった捉え方をされることが多いような気がします.
今のところAIに関連する検定はほとんどないので,業界的にはいろんな意味で注目をうけている検定です.ただしこの業界は実績ありきなので,E資格を取ったからと言ってすぐに転職ができるか?というと微妙です.ただ非常に幅広い知識を対策期間に吸収することになりますし,取得前後では確実にこの分野における知見が変わっているはずです.一応データ解析分野を専門として働いている身でも,新しい気付きも沢山ありましたし,興味があれば挑戦してみる価値はあると思います!
E資格の受験手順
認定プログラムの受講が必須
- 認定プログラムをひとつ受験(5~30万円で3~6か月程度が多い)
- 認定プログラム終了~2年以内にE資格試験を全国の試験センターで受験(年2回開催)
- もし落ちても2年以内であればプログラムの受けなおしはせずに再受験可能
- だいたい2週間ちょっとで結果が届きます(公式は3週間以内といっている)
E資格を受験するには,まずJDLAが認めている認定プログラムを受講する必要があります.完全にオンラインで受講できるものがほとんどで,料金も会社によってまばらです.最近はだいぶ価格も抑えられてきて5万円程度で受講できるものも増えてきましたが,中には30万円を超えるようなものもあります.仕事の関係で色々と受講したり,知人友人から話を聞いた裏話としては「高い=質が良い」とは全く言えなさそうです.高いところでも教材の質も低ければフォローの質もあんまり...というところもありました.自分に手が出る範囲の価格で,自分にあってそうなところを選べば全く問題ないように思います.
以下の記事で認定プログラムの比較と選び方,注意点についてまとめていますので,よければ参考にしてみてください.
結果発表はいつ?
公式には,受験日から3週間後までに結果がメールにて送られるとあります.実際には,試験回ごとに異なり,少しずつ結果発表が遅くなっているようです.まだ設立されたばかりの資格なので,受験者数も徐々に増えていますので,その影響も考えられます.(もしかしたら事務局もルーティンが確立されて作業が早くなっていくことも考えられますが…関係者各位おつかれさまです…)
2021年2月開催については,ちょうど3週間後の3月11日(金) 20:00ごろに結果が届き,それまでの試験で最も結果発表までに時間を要しました.ただし2021#1に関しては,中止になった2020#2の受験予定者がずれこんできたこともあり,受験者数が通常回よりも大幅に増加したことが原因とも考えられますので,あまり参考にはならないかもしれません.他の通常の回については10日前後で結果が届いています.
開催回 | 開催日 | 結果発表日(公式サイトでの公示日) |
2018 | 2018年9月29日 | 2018年10月12日 |
2019 #1 | 2019年2月23日 | 2019年3月5日 |
2019 #2 | 2019年8月31日 | 2019年9月9日 |
2020 #1 | 2020年2月21/22日 | 2020年3月3日 |
2020 #2 | 中止 | |
2021 #1 | 2021年2月19/20日 | 2021年3月12日 |
2021 #2 | 2021年8月26/27日 | 2021年9月17日 |
合格基準の目安
まずはどの程度で合格できるのかを確認しておきましょう.一応公式サイトでは合格基準は公開しておらず,毎年の合格割合や平均点数のみが公開されています.そこから大体どの程度の点数が必要なのかを考えてみます.
開催回 | 応用数学 平均得点 | 機械学習 平均得点 | 深層学習 平均得点 | 開発環境 平均得点 | 受験者数 | 合格割合 |
2018 | 66.66% | 64.70% | 58.11% | – | 337人 | 69.44% |
2019 #1 | 66.77% | 64.91% | 55.51% | – | 387人 | 63.31% |
2019 #2 | 72.04% | 58.89% | 59.69% | – | 696人 | 67.82% |
2020 #1 | 70.93% | 63.80% | 60.58% | – | 1042人 | 68.04% |
2020 #2 | – | – | – | – | – | – |
2021 #1 | 69.65% | 72.80% | 67.80% | 78.39% | 1688人 | 78.44% |
2021 #2 | 67.16% | 73.49% | 63.54% | 66.54 | 1170人 | 74.53% |
- 例年の合格割合は65%程度
- 平均得点割合は60~65%程度
- 合格基準の目安として60%くらいあれば安心
- 55%くらいが本当のギリギリの合格ライン?
という感じです.意外とハードルが低そうに見えますが,JDLA認定のプログラムを終了した人しか受験できないので「事前にふるいにかけられた方の中の65%が合格している」ということも加味した方がよいかもしれません.
ちなみに2019年後半くらいまでは認定プログラムの受講料が非常に高額なところばかりでしたので,厳密には「ディープラーニングに精通している」方々が受験しているというより「会社や所属組織が受講料を払ってくれるような」方々が受験していると考えた方が良いかもしれません.どちらにせよ,誰でも受験は可能という試験よりも厳しめに考えていた方が良いかもですね.
勉強量・期間の目安
もちろんベースの知識に依存しますが,だいたい3~6カ月あれば十分かなと思います.余裕をもって進めるなら,以下に記載するようなペースで学習されていれば,まず問題ないかなと思います.
- 公認プログラムを2~3か月程度で修了
- 平日1~2時間/休日4~6時間を3カ月程度
もちろんプログラミングも全く触ったことがない方でも,たいていの公認プログラムは基本から教えてくれるので大丈夫です.「百聞は一見に如かず,一見は一触に如かず」というように,プログラミングってやってみたら意外と出来るもんです.大丈夫.
また公認プログラムはあまりに煮詰まらずに,課題をだして修了することをまずはおススメします.なぜかというと公認プログラムといっても,実はその会社が他のプログラムで提供している内容を龍昇しているだけだったり,受験対策としては優れているといえないものも多いためです.あくまでも認定プログラムは「導入」として力を借りる程度に考えておきましょう.この後に実際の受験対策に必要な書籍を紹介しますので,試験に必要な「理解」と「対策」は書籍でしてもらった方が良いかと思います.
E資格の試験対策・おすすめ書籍
それでは「これやっときゃ大丈夫」な神書籍を3冊紹介します.他サイトでも紹介されているものばかりですが,仕事柄いろいろな書籍を読む中で「E資格対策にはやっぱりこれ」というものを選びました.いやほんとこれやりこめば合格点はとれます.読み進めてほしい順番に並べます.
1.ゼロから作るDeep Learning-Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装- は沢山の方がおススメしていますが,本当に神書籍です.「数学が苦手×プログラミングやったことない」という方は本当にこの本から始められることをおススメします.説明を簡単にするとどうしても情報量が落ちてしまいがちなのですが,この本は教科書のお手本のような書籍です.とにかく大切なことの多くはここで学べます.
- 良い点:導入から終わりまで,すべてが素晴らしい.Pythonも数学も解説してくれる.
- 悪い点:自然言語を解析するRNNなどについては含まれていない(ただ続編の 自然言語処理編 も神書籍になっているので余裕があればおススメ)
2.徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版 は初めてのE資格対策の問題集です.2020年に発行されてまだ期間は浅いですが,問題数やその解説は非常に充実しています.この手の検定問題集は解説が丁寧でないものが多いのですが,この本は解析にキチンとボリュームがとられていて凄いなという感想です.最初は分からないところが多くても,解説をしっかりと読みこめば理解が深まる内容になっています.また最後に100問程度の模試がついていて,最後の確認ができる.模試内容は実際の試験より少しちょっと簡単めの印象.
- 良い点:唯一の問題集.解説もしっかりしている.模試もついている.
- 悪い点:誤植がかなり多い(正誤表)⇒ 第2版で大幅改訂されています!
3.深層学習 は業界の超有名人Ian Goodfellow先生の著書です.AI分野では単語の定義が混在していることも少なくないのですが,E検定ではこの書籍での定義を倣っているところが多いというのは周知の事実です.2で紹介した問題集の解説でも,この深層学習のどこを見れば詳細が載っているかが書いてありますので,2と併用するのもおススメです.ただ内容は結構難しめなので,参考程度に考えられると良いかと思います.
- 良い点:E資格試験でよく引用される.E資格エンジニア問題集と紐づけられる.
- 悪い点:ちょっと難しい
まとめ
今回はAIに関する資格であるE資格について紹介しました.非常に注目度の高い資格であり,この分野についてこれから学習を始めたいという方が受験するメリットは大いにあると思います
これから勉強を始めたいな~という方の参考になれば幸いです!
またPythonに関してはこのサイトでも基本的な環境構築から使い方を紹介していますので,よければ参考にしてみてください.
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