はじめに
アメリカ合衆国に研究者として交換訪問者(J1)、あるいは学生(F)として入国する際に必要なビザの手続きについてまとめています。意外と必要な手続きがシンプルにまとまっているサイトが少ないので、自分の備忘録も兼ねて書き留めておきます。
なおそれぞれの項目の詳細は、アメリカ大使館や移民局サイトなどの正式なページをご確認ください(その時々で情報が更新されている可能性もありますので)。それらを前提としてこのページでは、全体の流れを掴むための必要最低限な情報のみを載せておきます。
留学に行くことになりそうだけど何から手をつけていいのか分からね〜!って困っている方のちょっとでも助けになれば幸いです。
ビザ取得の最低限の流れ
- 受入機関にDS2019を申請
- SEVISへの登録料支払いとI901の取得
- DS160の取得
- 米国大使館へ資料を送付
受入機関にDS2019を申請
ビザの発行はアメリカ大使館が行います。ビザ取得の準備をするということは、アメリカ大使館に提出するためのアイテムを揃えることと同義です。その最初の壁がDS2019の取得です。
DS2019はアメリカの受け入れ先の企業であったり大学であったり(以下、受入機関)に受け入れてもらうことを証明する書類であり、受入機関に発行をお願いします。
これを受入機関からもらうこと、つまりこれを発行するための膨大な事務手続きを負担してもらうこと自体、実はハードルが高いことだと思ってもらった方が良いかもしれません。
DS2019は以前は紙で送られてきましたが、最近ではPDFで送られてきます。結構時間がかかるので注意してください。
SEVISへの登録料支払いとI901の取得
DS2019の発行を受け入れ先機関にお願いすると、受入機関はSEVIS(Student and Exchange Visitor Information System)という国の管理システムに我々の情報を登録してくれます。SEVISに無事登録が完了すると、SEVISへの登録費用を請求されます。支払いは受入機関から案内があると思いますが、米国移民局I901Feeから支払うことになります。
登録費用は研究者などの交換訪問者(J1ビザ)の場合は$220、学生(Fビザ)の場合は$350です。金額は執筆時点(2023年)のものであり、その時々で変更する必要があります。ビザ申請関連にはこんな感じで都度4万円くらいを何度か支払う必要があり、大型の奨学金をもらっていても地味に効いてきます。
このSEVISへの登録費用を支払ったらI901という資料が発行されます。ちなみにJ1ビザ申請者に帯同する配偶者や子どものJ2ビザについてはSEVISの登録資料は請求されませんし、I901の取得も不要です。
DS160の取得
アメリカ大使館へビザ申請する際には、申請者に関する詳細な情報を入力したDS160を提出する必要があります。費用はかかりませんが、こちらはJ1ビザ申請者のみでなく、配偶者や子ども(J2ビザ)についても登録が必要です。
DS160申請サイトから登録が必要です。項目が結構細かく、間違いがあるとやり直しになるので、時間のある時に丁寧にすることをお勧めします。私は一度間違えてやり直しました。
米国大使館へ資料を送付
よくここまで頑張りましたね。ここまででかき集めたDS2019、I901、DS160に、証明写真とパスポートを添えてアメリカ大使館へ送付します。送付物や送付先に関する詳細な情報はこちらのページの申請必要書類をご確認ください。
「上記のようなサイトがあるなら最初からそれでいいじゃん」とも思いますが、それらを読んでもいまいち何を信じて良いか分からなかったからこのようなサイトに流れ込んできたはずです。上記の流れを飲み込んでようやく公式の有り難みが理解できるのです。
ちなみに上記のサイトは、在日米国大使館と領事館/ビザサービスの 非移民ビザ/学生ビザ、就労ビザおよびその他の非移民ビザ/詳細から飛んだ先のサイトの「交換訪問者ビザ」から飛ぶことができます。
ちなみに「あれ?大使館で面接とか受けなくていいの?」と思った方もいらっしゃると思いますが、過去に旅行用ビザESTAで渡米したことがある方は基本的に面接不要で、書類のみのやり取りで完了します。めっちゃ楽です。念の為、ご自身でも条件のご確認をお願いします。
問題がなければ1-2週間ほどでアメリカ大使館から送った書類と、サイン入りのDS2019、そしてビザ内容が追記されたパスポートが送り返されてきます。留学者本人のJ1と帯同者のJ2に関する資料は一緒に送りますが、返信はなぜか別々に、しかも別日に届いたりします。よくわかりませんがドキドキしますね。
何はともあれ、これで無事念願のビザが手に入りました。これで渡米したも当然ですね。
と言いたいところですが、ビザを手に入れても、その後も受入先機関にいろんな書類を提出したり、渡米後に受入機関でDS2019を更新する必要があったり、その他いろいろな記録書類の取得が必要だったりしますので、その辺りも以下にまとめておきます。
DS2019申請時に準備が必要になるかも知れない書類
- Credential Evaluation(信用評価)
- TOEFL/IELTSのスコア
Credential Evaluation(信用評価)
受入機関が大学などの場合には,Credential Evaluation(信用評価)の提出が求められます.これは平たく言えば卒業・修了大学の成績証明書・学位証明書です.
だからと言って卒業・修了大学に申請して貰えるものではなく,外部の信用評価機関(Credential Evaluator)を介して,卒業・修了大学での成績をアメリカの成績評定に準じた成績に換算してもらったものを提出する必要があります.
信用評価機関はいくつかあり,留学先の受入機関と,卒業・修了大学が共に連携しているところを選ぶ必要があります.ただ最大手であるWES(World Education Services)はかなりの大学が連携しているはずで,基本的にこちらを利用することになると思います.
ここで私はかなり混乱したので,簡単な流れをまとめておきます.
- 受入期間・修了大学に対応可能な信用評価機関を事前に確認
- 信用評価機関に情報を登録
- 信用評価機関から発行された書類を修了大学の担当部署へ共有
- 修了大学が情報を信用評価機関にアップロードして認証されれば証明書が発行される
信用評価機関に登録するときにも,確か4万円くらいかかります.TOEFLの受験にも4万円くらいかかりますし,しばらくずっと4万円を払ってる感覚がありました.地味に効いてきます.
TOEFL/IELTSのスコア
これはわざわざ載せる必要はないかも知れませんが,研究者の留学だと,わざわざ条件に書いてなかったり,そもそも受入承認時点では求められないところもあるようです.ただ大学事務の登録時にしれっとアップロードが求められることがあるので,サボらず取っておきましょう.
TOEFLの場合最低でも80点は欲しいところで,大体90点くらいあれば結構どこの大学でも安心だと思います.これも受験料1回あたり4万円くらいかかるのできついです.ただ2023年途中から試験時間がかなり短縮されたので,数年前に比べると格段に楽になったように感じます.
そのほか必要になること(渡米後)
- I94の取得
- Social Security Numberの取得
I94
I94はアメリカへの入出国情報が記録された資料です.当然ビザ申請時点では不要ですが,アメリカ内で色々と手続きをするときは基本的にDS2019とともに提出が求められます.
ただ取得は簡単で,I94ウェブサイトからGET MOST RECENT I-94に飛んで,名前やらパスポート番号やら入力するとウェブ上でさっと取得できます.いつでも取得できますが,有効期限が30日間なので,その点だけ注意が必要です.
Social Security Numberの取得
交換訪問者(J1)留学の場合,大学事務からSocial Security Number(SSN)の取得が求められると思います.これは地域管轄のSocial Security Officeを訪問して取得する必要があります.
「地域名 + Social Security Office」で検索するとどこに行けばいいかわかると思います.管轄にもよるかも知れませんが,基本的にネット上で事前に申請登録をしておくと,当日の待ち時間が少ないようです(申請していない場合がわからないので比較はできませんが).基本的に1-2時間程度で完了すると思います.
後日自宅にSocial Cecurity Cardという名の薄い紙が送られてきます.番号だけ覚えて基本は持ち歩くな,と言った注意書きが書いてあります.私の場合はSSNを入力する場面は最初の大学との手続き以外はかなり少なかったので,確かに持ち歩く必要はありません.
まとめ
ここではアメリカ留学の大前提となる,ビザ取得手続きにかかる基本的な作業をまとめました.まとめてみると「意外と簡単じゃん」と思えるのですが,右も左も分からない中,限られた時間で調べながらやってるとかなり混乱したのでまとめてみました.
ひとつひとつの作業自体はいろんなサイトが説明してくれていますし,慣れてくれば大使館の情報などを読めばOKなのですが,そこに行き着くまでの橋渡しとしてご利用くださいませ.
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