記事の要約:E資格 認定プログラムの選び方
この記事で学べること
- ディープラーニングE(エンジニア)資格の認定プログラムについて
- 各社の教材内容・質・価格について
- E資格認定プログラムの選び方
この記事のまとめ
- 現時点ではプログラムの質には期待しない方が良い
- E資格認定プログラムの価格は非常に高いが低下傾向
- メンター徹底指導・合格保証・転職保証・事前知識不要には期待しない
- おすすめの認定プログラムは「e-learning完結×価格が安い×体験で気に入ったところ
キカガク | 216,000+税 | ◎サポート手厚い ◎初学者向け予習動画あり | ×若干高額 *給付金に関してはオンライン説明会で |
スキルアップAI | 50,000+税 | ◎安い | ×チャット等の質問は別料金 ×事前知識が必要 |
Study-AI | 月額3,000+税 ※入会金20,000円 | ◎激安 | ×必要最低限のコンテンツのみ ×単元をクリアしないと進められない ×サポート等は全く期待できない |
認定プログラムに加えてより深くしっかりと学ぶ・対策をするのであれば以下書籍がおすすめです.とくにゼロから作るシリーズは認定プログラムを受ける前に読むと,認定プログラムの内容をより良く理解できるようになると思います.
ディープラーニングE資格の認定プログラムとは
まずE資格とは,一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)が認める「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」資格です.(公式サイトより抜粋)
E資格を受験するにはまずJDLAが認める認定プログラムを修了する必要があります.認定プログラムはいろいろな会社が提供しており,3か月程度のプログラムが多い印象です.多くのプログラムはe-learningで受講可能で,自宅や地方でも問題なく修了できます.以下に認定プログラムの受講からE資格受験までの手順をざっくりと示します.
- 認定プログラムをひとつ受験(5~30万円で3~6か月程度が多い)
- 認定プログラム終了~2年以内にE資格試験を全国の試験センターで受験(年2回開催)
- もし落ちても2年以内であればプログラムの受けなおしはせずに再受験可能
- だいたい2週間ちょっとで結果が届きます(公式は3週間以内といっている)
認定プログラムの内容について
認定プログラムは様々な会社が提供していますが,コンテンツの内容はどこも似たり寄ったりです.というのも,E資格の試験はシラバスが毎年更新されてはいるものの,大枠のコンテンツはかなり限定されているためです.かなりざっくりと分けると,以下のようになります.
- Pythonの基礎知識 ⇒ E資格対策でだけやってると結局身につかないかも
- 数学・統計 ⇒ 実は覚えることはかなり少なくて出題量も少ない
- 機械学習 ⇒ ここも覚えることは少なくて出題量も少ない
- ディープラーニング ⇒ 出題の大半を占めるけどそこまで深いことは問われない
最新の手法はどんどん更新されて行っているのですが,あまり新しい手法についてはそもそも専門家も内容をきちんと精査している途中ですし,最新手法の細かいところなんて問題にしたくてもできない部分が多いんですね.なので結局は基本的なところを問うしかないので,出題範囲も限定されてくるのです.
(1)Pythonの基礎知識:どこの認定プログラムでも提供しています.Pythonは無料で使える統計ソフトですが,大体の認定プログラムでは受講者のPCでPythonが使える環境を準備するわけではありません.Fastpyterなどのオンライン上ですぐにPythonを実行できる環境を提供してくれます.これは一見,楽で良さそうに見えますが,実は注意が必要です.
「受講者が解析環境を整える必要がない」ということは,裏を返せば「受講者が自身で解析環境を整える方法を教えてはくれない」ということです.受講者はこの認定プログラムを修了し,E資格をとった後も,ご自身でPythonを使って様々な解析にチャレンジしていきますよね.認定プログラムでは自身のPCでのPython環境を整える術を教えてくれないので,プログラムを修了した後にPythonが使えない,という方も少なくありません.
また最初から準備された環境なので,自分でトライ&エラーをしなくても,解析が上手く実行できてしまいます.そのため,こういう既に構築された環境のスクールの卒業生には,Pythonプログラミングの本質的な理解ができていないということが多かったりするのも事実です.PythonプログラミングについてはAI関連の手法に限らず,まずは基本からデータの扱いや解析方法を学んでいくのが一番の近道のように思います.
またこのサイトでもpythonの環境構築から基本的な使い方を紹介していますので,よければ参考にしてみてください.
(2)数学・統計:おそらくニガテ意識を持っている方も多いと思います.しかしE資格に出題される数学・統計に関する内容は非常に狭く・浅いのでご安心ください.数学に関しては固有値・特異値計算さえできればほぼ問題ありません.また統計学についても確率分布は正規分布・二項分布・多項分布くらいで非常に限られています.この辺りはどの認定プログラムでも説明していますし,徹底攻略ディープラーニングE資格問題集などを読んでもらえればすぐに身につきます.
(3)機械学習:E資格で出題される内容は少なく,浅い印象です.出てくる手法も限定的で,実際に利用されることの多い発展的な手法はあまり問われない印象です.このあたりも暗記で全く問題ありません.
(4)ディープラーニング:E資格の本丸なので,やはり範囲・ボリュームは他項目に比べて大きいです.しかし上記で述べた通り,問われる内容は限られていますし,最新の手法についてはそこまで突っ込んだことは問われません.コンセプトを理解できていれば問題ないことが多い印象でした.
認定プログラムの質について
認定プログラムはもちろん提供元の会社によって異なりますが,知人間で情報交換している限りでは,正直なところあまり質が高いとは言い難い印象です.
同じプログラム内であっても項目ごとに担当者が異なることもあるようで,「これ理論的に間違った説明してるよね…」というコンテンツもあれば,「これはきっと普段から実装や教育している方が作ったのだろうな」というコンテンツが混ざっていることもあります.
E資格も最近発足した資格ですし,当然その対策講座も最近立ち上がったものばかりです.裏話としては「資格対策講座を立ち上げる際に前の担当者が急いで作ったコンテンツが酷すぎて,今修正中なんです!」なんていう同業者の声も…
またその会社がもともと持っていた別のe-learning教材をE資格対策講座用に流用しただけで「E資格対策としては微妙…」というものも珍しくありません…
まあ今は良質な書籍が沢山ありますし,ネットでも良質な記事があふれています.それらと相補的に学ばれるのが一番良い気がします.
教訓:認定プログラムはさらっと修了して書籍でしっかり勉強した方がよい.
認定プログラムの価格について
前提として,認定プログラムは非常に高価です.
プログラムが始まった当初は,50万円を超えるものも珍しくありませんでした.最近ではかなり価格が抑えられてきて,5~20万円程度で受講できるプログラムも多くなりました.おそらくこれからはもっと価格は抑えられていくと思います.
ちなみに私が受講したときのアイデミーE資格対策講座は70万円でしたが,2021年現在では半額以下になっています.なぜアイデミーを選んだかというと「一番価格が高かったから」です.諸事情につき経費で受講できたので,どうせなら一番価格の高いところのコンテンツを受講者として確かめてみよう,と思った次第です.結論から言ってしまうと,高いから他社よりめちゃくちゃ良いか?というとあまりそういうことはなく,サービス面で比較的丁寧に扱ってくれるかな,くらいの印象でした.
教訓:高いから良いとは限らない.E資格に対策プログラムに関しては差は出にくい.
認定プログラムを選ぶ際の注意点
さて,以下に認定プログラムを選ぶ際の注意点を挙げておきます.これはあくまでも,このような記載がある会社を避けるべきということではなく「それを期待しない方がよい」という注意になります.もちろんどれもあって困るものではないので,期待しすぎないでね,という程度にとらえてください.
- パーソナルメンター!に期待しない
- 合格保証!に期待しない
- 転職保証!に期待しない
- 事前知識不要!に期待しない
(1)パーソナルメンター!に期待しない:会社によってはパーソナルメンターが徹底指導!とあります.もちろん会社にもよりますが,返答してくれる時間が非常に限定的だったり,コンテンツの内容から少しでも拡張したものだと答えてくれなかったりと意外と制約が強かったりします.また当然ですが,メンターさんによっても返答の質にかなり差がある現状も…
(2)合格保証!に期待しない:アイデミーさんは合格保証を謳っています.しかしこれはメンターへの質疑応答などが可能な期間が延長されるだけであり,それ以上でも以下でもありません(…いやそりゃそうなんですが,合格保証って言われると特別な指導してくれるっぽく感じちゃうじゃないですか…).
(3)転職保証!に期待しない:転職保証ってE資格だけでなく,様々なプログラミングスクールで使われている謳い文句ですよね.でもIT専門の分野の人からすると「スクール通っただけor資格とっただけの人間を雇って指導する時間は正直とれない」というのが共通認識です.もちろん資格取得を機に,よりプログラミングに近い仕事は就けるかもしれませんし,それが将来的なステップアップにもなるかもしれません.そういうステップとしては,IT企業よりも,IT関連のコンサル企業の方が重宝されるし有難がってもらえる印象はあります.そういった転職はスクールに頼らなくても,E資格などを持っていれば普通にAXISコンサルティングなどの転職サイトを使えばすぐにオファーが来る気がします.
(4)事前知識不要!に期待しない:事前知識が全く不要だったプログラムをあまり見たことがありません.本当に.事前知識不要と謳っていながら,受講が始まると当然のように「もしこれを知らないなら他の本で読んで勉強してね」的な対応になることが多い印象です.事前知識不要って書くなら,全部きちんと説明してここで完結させてよ…とも思うのですが…
どんな認定プログラムを選べば良いの?
ではどのような認定プログラムを選ぶべきなのでしょうか?結論から述べると,
- 全てe-learningで完結できる
- 価格が安い
- 体験受講して雰囲気がよさそうだと感じる
であればOKだと思います.あとは価格とサポートの手厚さのバランスによって決まります.上記で少し触れたアイデミーさんは一応合格保証を謳っていることと,2週間以内であれば全額返金もしてくれる点が特徴的です(ただ私が受講していた時点では,提供される資料は1週間ごとに順次配布されましたので,実際には2週間で全ての資料を確認して判断できるわけではないかもしれません…).キカガクさんは一般の方には許容範囲のぎりぎりかと思いますが,やはりこの分野では大手で安心感があり,事前知識がない方へのサポートも充実しています.スキルアップAIさんは価格はお手頃ですが,チャットでの質問や事前学習用等のサポートを受けようとすると,結局キカガクさんと変わらないくらいの値段になります.あとは価格面だけではStudy-AIさんがかなり画期的な月額プランを出されています.内容を見る限り,E資格をやむなく取得することになった日常業務でAIに触れているプロフェッショナルがお金をかけずに合格するためのコース,のような雰囲気があります.
アイデミー | 298,000+税 | ◎2週間以内の全額返還あり ◎合格保証(一応) | ×高額 *2週間以内であれば全額保証あり |
キカガク | 216,000+税 | ◎サポート手厚い ◎初学者向け予習動画あり | ×若干高額 *給付金に関してはオンライン説明会で |
スキルアップAI | 50,000+税 | ◎安い | ×チャット等の質問は別料金 ×事前知識が必要 |
Study-AI | 月額3,000+税 ※入会金20,000円 | ◎激安 | ×必要最低限のコンテンツのみ ×単元をクリアしないと進められない ×サポート等は全く期待できない |
まとめ
今回はE資格をうけるために必須である認定プログラムの紹介をしました.さまざまなプログラムがある中で悩まれる方も多いかと思いますが,参考になれば幸いです.
また上記で紹介したコースはいずれも事前面談による相談や,体験入会が準備されていますので,一度自分の目と耳で確認してみるに越したことはないと思います!
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